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事故調査事例

1.家屋基礎沈下と地震の揺れとの因果関係

業務概要:築年数の古い家屋が震度4の地震を受けたのち、基礎コンクリートのひび割れや屋根の傾斜が生じていることに気付いた住民が、地震の影響であるとして保険適用を申請した。

調査内容:地震により基礎直下に埋設されていた土管に異常が生じ,そこから流出した排水が沈下の原因として保険請求が出さた。この件を究明するため、まずその地震による一帯の震度分布、地盤種別、類似被災例の有無の調査を行い、震央距離がそれほど近くはないこの地域一帯で類似の被災例が皆無であることを確認した。また近傍の地震記録を入手し、地震動の加速度値や卓越周期を分析する共に簡単な解析も実施し、地盤の液状化や、地中埋設管の引き抜けや破損を引き起こすレベルには達していないことも確認した。

調査のまとめ:地震がこの請求事案の原因ではないと判断した。

2.ポンプ場建設に伴う擁壁傾斜の原因

業務概要:公共工事におけるポンプ場建設に伴い、道路を隔てた住宅地の重力式擁壁が傾いたことを受け、原因を究明するための調査を実施した。

調査内容:重力式擁壁傾斜の原因を究明するため、現地において必要な調査を行った。 排水ポンプ場掘削の土留めは完了後に周辺地盤が沈下しないように土留めを残置する設計であることを確認した。本件では、周辺環境への影響を把握するために必要な工事着工前の事前調査が実施されていなかった。  重力式擁壁(高さ約80cm)を調査すると、道路側に最大で10cm傾斜し、大きなひび割れが数か所発生していた。ひび割れの断面をよく見ると、いずれも経年変化により黒っぽく変色していた。また、近接道路に地盤沈下等の変位は見られなかった。このことから、擁壁の傾斜・ひび割れは最近ものではなく、工事が行われる以前に発生していたものと判断した。

調査のまとめ:設計及び工事には特に問題がなかった。工事着工前に事前調査を行っていなかったことは致命的である。

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